日本の伝統食である蕎麦。
実に様々な種類があります。
- 十割そば
- 更科蕎麦
- 韃靼そば
「更科蕎麦って名前は知ってるけど・・・?」
そう、名前こそ知っていても、それが一体なんなのかまで知っている人は少ないですよね。
今回は、麺の種類やブランドに焦点を当てて、詳しく解説していきたいと思います。
あわせてチェック
蕎麦粉による違い
大きな種類の分け方として、蕎麦粉の違いで分けることができます。
まず簡単に蕎麦粉について説明します。
蕎麦粉の作り方による違い
蕎麦粉を作る際には、蕎麦の実を石臼などで挽き製粉します。
この時、蕎麦の実の中心(柔らかい)部分から、外皮(硬い)部分に向かって、順に製粉されていきます。
その際の順番によって、以下のように分けられます。
- 更科粉
- 一番粉
- 二番粉
- 三番粉
- 四番粉
一般的な蕎麦に使用されるのは三番粉までが普通です。
四番粉までいくと質が落ちるので、乾燥麺などに使われることが多くなります。
そばのブランドによって、使われる粉の種類が異なってきます。
ポイント
- 更科蕎麦(さらしなそば):更科粉
- 藪蕎麦(やぶそば):二番粉と三番粉
- 砂場蕎麦(すなばそば):主に一番粉
- 田舎蕎麦:どこかのブランドに属さない蕎麦全般
更科そば、藪そば、砂場そばは、それぞれ江戸そば御三家のひとつとして数えられています。
詳しく見ていきましょう。
更科蕎麦:純白のそばが特徴
使用する蕎麦粉は一番粉の中でも、外皮などを取り除いた、より純度の高い更科粉を使うことで有名です。
ビールで例えるなら、一番麦汁しか使わない「キリン一番搾りみたいなもの」ですね。
更科蕎麦の最大の特徴が、蕎麦の色が白いということ。
蕎麦というと茶色~灰色というイメージですよね。
あの蕎麦の色は蕎麦の実の外皮などの色なのです。
更科蕎麦では、外皮などの成分を含まない純度の高い一番粉(更科粉)しか使いません。
蕎麦が白い色をしていて、まさに洗練された蕎麦という印象を受けます。
ただし、見栄えはいいのですが、一番粉にはデンプン以外の栄養がほとんどありません。
栄養価や風味という点では、一般的な蕎麦に比べると劣ってしまいます。
そして、「麺自体が切れやすい」という特徴もあります。
私も数年前にスーパーで更科蕎麦を買って自宅で調理し食べたのですが、すぐ切れるし、柔らかいし、風味もないし・・・
正直、私の口には合いませんでした(笑)
正に上流階級の為のおそばといった体ですね。
更科蕎麦の名称は、江戸時代の蕎麦屋の屋号に、「更科」が含まれていたことが由来です。
【日本三大蕎麦VS江戸蕎麦御三家】全く違うそれぞれの特徴まとめ
藪蕎麦:麺よりもつゆの味付けに特徴が
こちらは、更科蕎麦ほどの知名度はないかもしれません。
更科蕎麦が白い見た目であったのに対し、藪蕎麦は少し緑がかった見た目をしていることが多いです。
この緑は二番粉や三番粉に含まれる、蕎麦の実の外皮内側の甘皮に由来する色です。
しかし、藪蕎麦自体は、麺よりもめんつゆなどの味付けが塩辛いということの方が特徴です。
必ずしも緑がかった麺の色をしているわけではありません。
「藪」の由来は、藪蕎麦発祥の店の周りに藪が茂っていたからと言われています。
砂場蕎麦:大阪生まれの江戸御三家
江戸御三家の内の一つに数えられているのですが、生まれは大阪。
一番粉を使用するのは更科そばと同様です。
とはいえ、更科粉ほど純度の高いものは使用しないので、更科ほど麺は白くありません。
「砂場」の由来は、お店が建設現場(砂場)の近くあったから、と言われています。
田舎蕎麦:様々な種類のそばが存在
明確な定義はありませんが、特にブランド化されていない蕎麦という意味で多く使われます。
田舎蕎麦は、更科蕎麦よりも風味や栄養価の点で優れています。
麺の色は茶~灰色で、小さな黒い粒(蕎麦の実外皮の破片)が混ざっている見た目です。
よく知られている日本蕎麦って感じですね!
蕎麦粉以外の混ぜものによる違い
世の中にある蕎麦は、蕎麦粉だけで作っているわけではありません。
つなぎや風味づけの目的で、蕎麦粉以外のものを混ぜたりもします。
何をどれだけ混ぜるかも、蕎麦の種類を分ける重要なポイントの一つです。
蕎麦粉の割合による分類
一般的に蕎麦粉と小麦粉を混ぜて作られることが多く、その割合で分類されます。
蕎麦粉が多い方が蕎麦の風味が強く、小麦粉の割合が増える方が切れにくい麺となります。
更科蕎麦が切れやすい特徴を持つのも、二八や十割そばが多いからですね。
- 十割そば
- 二八そば
- 五割そば
細かく分類していくと、三六や四六の割合のそばもあります。
十割蕎麦
蕎麦粉のみで作ったそばです。
切れやすい反面、そば本来の味を楽しむことができます。
二八蕎麦
蕎麦粉と小麦粉を混ぜて作った蕎麦です。
その比率が蕎麦粉:小麦粉=8:2になります。
五割蕎麦
蕎麦粉:小麦粉=5:5の蕎麦です。
うどんにも近いと言えるでしょう。
この五割蕎麦は、普通のお蕎麦屋さんでは食べることが出来ません。
なぜかと言うと・・・
蕎麦屋が提供する蕎麦は「蕎麦粉の割合が70%以上」と言う決まりがあるからです。
営業者が提供する「そば」は、そば粉の割合は70パーセント以上とし、その旨を店頭または店内に表示するものとする。
ちなみに蕎麦屋以外の、例えばスーパーで売っている蕎麦にも、蕎麦粉の割合に関する取り決めが色々あります。
販売形態(乾麺、生麺、インスタント麺など)にもよりますが、「蕎麦」と銘打つためには、だいたい蕎麦粉の割合は30%以上である必要があります。
茶そば
蕎麦粉に抹茶の粉末を混ぜて作った蕎麦です。
緑色をしているのが特徴で、配合量にもよりますが、ほんのりとしたお茶の風味がプラスされています。
小麦粉以外に何かを混ぜ込んだものは、茶そば以外にも色々あります。
梅を混ぜ込んだ「梅そば」や、山芋を混ぜ込んだ「山芋蕎麦」などです。
ソバの品種による分類
蕎麦の原料である蕎麦の実を作る「ソバ」は他花受粉をする植物です。
その為、他の品種と交雑しやすく、その種類は多岐に渡ります。
ソバの品種名は地域の名称をつけられることが多く、麺にも地域の名称をつけられることが多いです。
信州そばなどは最も有名かもしれませんね。
韃靼蕎麦:チベット産の実を使ったもの
「ダッタンソバ」というチベット地方原産のソバの実を使った蕎麦です。
一般的な日本蕎麦に比べて、苦味が強く「苦蕎麦」とも呼ばれます。
2000年初頭、韃靼蕎麦に多く含まれるルチンと呼ばれる成分に注目が集まりました。
当時の健康ブームに後押しされる形で、日本で急激に広まったのです。
一般的には「血圧の低下」や「抗酸化機能」などが期待されています。
まとめ
蕎麦の麺には様々な種類がありますが、その分類は次のような分け方ができます。
- 蕎麦粉の種類:一番粉/二番粉/三番粉など
- 蕎麦粉と小麦粉の割合:十割/二八/五割など
- 蕎麦粉と小麦粉以外の混ぜ物:抹茶/梅/山芋など
- ソバの品種:ダッタンソバなど
好みにもよると思いますが・・・
個人的には、田舎二八蕎麦が好きですね。
蕎麦の風味がしっかりとあって、つなぎの小麦粉があるおかげで切れにくく食べやすいです。
「わさび蕎麦とかあれば、薬味いらずで楽チンなのにな」と思って検索してみたら、わさび蕎麦もありました(笑)
手間いらずで美味しそうですよね!