日本は世界でも有数の麺好き国です。
ラーメン、パスタ、うどん、そば。
その中でも様々な種類があって、数えきれません。
実は、これらの麺たちの中で最も古い麺が「うどん」です。
うどんの誕生が、今の多様な麺文化を生み出すきっかけとなっています。
今回は、うどんの歴史や、独自に発達した讃岐うどんなどについて、追ってみましょう!
うどんの発祥と発展
うどんの発祥は実はハッキリとはしていません。
うどんの歴史が古すぎる為ですね。
麦の栽培方法や、粉にする道具・技術は、シルクロードを経て、古代中国に渡ってきました。
小麦粉を水で練ったものを、中国では「餅(ピン)」と言われていました。
ピンは、焼く・揚げる・茹でるといった調理方法が用いられ、「茹でたもの」がその後の麺になります。
日本の奈良時代には策餅(さくべい)がたくさん作られていました。
指でねじって作るものです。
それを次第に、細く長く作るようになります。
そうめんの元祖です。
「手延べそうめん」は、その技術から来ています。
さらに、中国では宗の時代に、切麺という手法が誕生します。
こねたものを削るように切りながら、お湯に直接入れていく技法です。
現代でも刀削麺という名前で販売されていますね。
この切麺を日本の「切麦」のルーツとする説もあります。
麦の粉を練ったものを、刃物で切るから「切麦」ですね。
切麺が日本に伝わって、独自に発展して切麦となった……。
というのは一説で、他にも色々な説があります。
うどんの由来
そもそも「うどん」という名前がどこから来たのか、これにも諸説あります。
古代中国の団子菓子「混飩(こんとん)」から、「温飩(うんとん)」→「饂飩(うどん)」になった説。
また、南北朝時代に表記された「ウトム」が語源という説も。
室町時代では切麦を総称して「うどん」とする記述も出てくるようです。
切麦を冷たくして食べるのを「冷麦」と言うようにもなっています。
現代に残っている言葉ですね。
その辺りから、そうめん、冷麦、うどんと、麺の太さを区別するようになったのでしょう。
マルコポーロとうどん
マルコポーロは東方見聞録を記した人です。
その中で、中国に行ってうどんの製法の技術を学び、後にそれがパスタやマカロニになったという説があります。
ただし、ヨーロッパの学者でも、マルコポーロが本当に中国に行ったのかどうかの論争があります。
東方見聞録が書かれたのは、1298年ごろ。
中国に行っていなかった派の意見は色々ありますが、おもしろいのは「箸」についてのことです。
東方見聞録には、箸の記述がありませんでした。
そこが問題のひとつになっています。
箸を見て驚くはずなのに、その記述がない。
しかも、その当時はまだフォークが誕生していなかったのです。
手づかみで食べている国の人が箸を見たら、珍しがって書いてもよさそうなもの、というのが根拠です。
また、マルコポーロが帰国した年よりもっと前に、「マカロニ」が出てくる書物があるそうです。
東方見聞録の信憑性はともかく、シルクロードを経て、麦の栽培と粉にする技術が広がりました。
それによって、東と西で違う麺文化が形成されたのはおもしろいですよね。
香川と讃岐うどんの歴史
うどんは、日本で独特の文化を展開した麺です。
中でもユニークなうどん文化を持っているのが香川県。
その香川の讃岐うどんに、スポットをあててみましょう。
空海とうどん
讃岐から誕生した空海。
真言宗の開祖であり、弘法大師と呼ばれる人物です。
何をした人かはピンと来なくても、名前はご存じですよね。
空海が唐から持ち帰ったものの中に「うどんの製法」があったと言われています。
讃岐は、気候が小麦作りに適していて、上質の小麦が採れました。
うどん作りに必要な塩にしてもそうで、製塩が盛んな土地でした。
うどん文化が花開くには、十分な素質をもった土地柄です。
讃岐うどん発祥時の形
発祥当時は麺状ではなく、団子を潰したような形だったそう。
現在の形になったのは1688年~1704年頃で、屏風絵にうどん屋が描かれています。
それくらい讃岐は、うどん発展国だったのです。
独特のうどん文化が伺えるのは、香川県のうどんのセルフ店。
全国展開しているお店だと、「はなまるうどん」や「丸亀うどん」が有名ですね。
県内には、お客さんが自分で湯通しする、完全セルフ店もあります。
製麺所がやっているところだと、器や調味料を自分で持ち込んで、麺だけを買うスタイルもあります。
ラーメンや蕎麦には無い風習ですね。
それだけ他県よりも、うどんがとても身近にあることがわかります。
秋田「稲庭うどん」の歴史
日本におけるうどんの歴史本筋とはズレますが・・・
讃岐うどんとはまた違う、興味深い歴史を持っているうどんもあります。
秋田の稲庭うどんです。
稲庭うどんは、独特の製法で作られています。
チルド麺でも稲庭風うどんがありますが、「風」とついていますよね。
麺をひねり、縒る(よる)、手延べの製法。
乾燥後の裁断でしか包丁を使わないのが、本来の稲庭うどんです。
麺に空気が入ることで、稲庭うどんならではの、滑らかな舌触りが出ます。
稲庭うどんは、現代では有名なうどんですが、昔は一部の人のみが知るうどんでもありました。
というのも、稲庭吉左衛門家の秘伝ともいうべきものだったからです。
一子相伝で伝えられる製法で、門外不出の技。
それゆえに、秋田の藩主への献上品として用いられていたのです。
当時の庶民の口には入らない、特別なうどんでした。
農家の食事からご当地うどんへ
讃岐うどん、稲庭うどんは、日本三大うどんに数えられているものです。
ですが、香川や秋田以外でも、うどん文化が盛んな地域があります。
それは主に、小麦の栽培や、麺作りに適した土地が関係しています。
小麦を栽培する土地では、農家の食事としてうどんが広まり、生活に溶け込みました。
私も子供の頃、祖母の家で古い製麺機を見たことがあります。
小野式という製麺機です。
楽天やAmazonで取り扱われています。
ハンドルを回すと、生地をのし状に伸ばせますし、それを麺状に切ることもできます。
家で手打ち、というと凝った料理というイメージがありますが、案外身近に麺作りがあった時代を感じられますよね。
その土地の麺の作り方、調味料の特色など、様々なバリエーションがあるのがうどんの魅力です。
今やその数は40種類以上!
うどんは日本人のソウルフードとも言えますね。
おわりに
日本三大うどんや、たくさんのご当地うどん。
通販で取り寄せられるものもありますし、現地に行った気分で食べるのも楽しいところ。
忙しくて旅行に行けない、なんていう時に、各地のうどんを食べるだけでも気分が上がりますよ!