きしめんとほうとう。
どちらも平べったい麺ですね。
そして両方とも小麦粉が主な原料です。
では、きしめんを煮込めばほうとうになるかというと・・・なりません。
というのもこの二つの麺には大きな違いがあるのです。
今回はそんな「きしめん」と「ほうとう」の違いについてお伝えします。
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きしめんとひもかわうどんとほうとうの産地
まずは産地の違いから。
きしめんは愛知県発祥の麺で、いわゆる名古屋めしの一つ。
愛知県東部発祥の芋川うどんがルーツとも言われています。
芋川うどんは、東日本にも伝わり群馬の「ひもかわうどん」の源にもなりました。
きしめんとひもかわうどんはルーツを同じくするものと言えますね。
一方ほうとうは山梨県の郷土料理ですね。
群馬や埼玉で食べられている「おっきりこみ」もほうとうの仲間とされ、「煮ぼうとう」「上州ほうとう」とも呼ばれています。
きしめんとほうとう 材料の違い
材料の違いはひとつだけ。
「塩」が入っているか、いないかの違いです。
この差は大きく、塩の有無によって麺の弾力や食感が全く違う物になります。
というのも、塩には麺を引き締めて弾力を増すという作用があるのです。
ツルツルした食感やコシが醍醐味のきしめんには、通常のうどんよりも塩が多く使われています。
一方、ほうとうには塩が入らないので、きしめんやうどんのような粘りや弾力はありません。
きしめんとほうとうの製麺方法
きしめんは、小麦粉を塩水で練った後に、寝かせてから切ります。
寝かせることで、生地には弾力が出てしっかりとしたコシのある麺に仕上がるのです。
平べったい形が特徴のきしめん。
その太さは幅が4.5ミリ以上、厚さが2ミリ未満とJAS規格で定義されています。
2ミリというとかなりの薄さです。
生地を薄く伸ばすためにも、きしめんを打つ時には直径1.2~1.4センチほどの細い麺棒を使います。
細い麺棒の方が、延ばすときに力が伝わりやすいのです。
ちなみに、きしめんとうどんの違いは、そのサイズだけです。
一方ほうとうは小麦粉を水で練った後に、寝かせずそのまま切ります。
そのため、粘りや弾力が出ずに柔らかな仕上がり。
年配の方やお子さんにも食べやすい麺ですね。
きしめんとほうとう 調理法の違い
きしめんは茹で上げてから、醤油味のお出汁をかけていただきます。
冷たいザルきしめんや、カレー南蛮風にすることも。
基本的にうどんと同じ調理法ですね。
麺のツルっとした食感や、コシなどを味わいます。
一方ほうとうは、麺を下茹でせずに、生のまま汁で煮込みます。
麺の下茹でをしないため、汁にはとろみがつきます。
みそベースのだし汁に、かぼちゃ、大根、にんじんなどと一緒に煮込んで具沢山でいただきます。
モッちりした麺ととろりとした汁、くたくたの具材が一体となった味わいがほうとうの醍醐味ともいえます。
小麦粉を練ってそのまま汁に入れる調理法は、うどんというよりもすいとん寄りの食べ物ですね。
実際、練った生地を切らずに、ちぎって煮込むほうとうもあります。
まとめ
平べったい麺が共通の「きしめん」と「ほうとう」。
ちょっとした材料と製法の違いながら、全く別の味わいをもった食べ物だといえます。
コシのある麺を味わいたい場合は、きしめん。
クタクタの具材や汁との一体感を楽しむなら、ほうとう。
それぞれの麺に合った調理法で美味しくいただきましょう。