パスタをゆでる時は、たっぷりの水を用意し沸騰したら塩を入れる。
数あるレシピ本にも、レシピサイトにも、ほぼほぼ書いてあることです。
今まで、その通りに作ってきましたが、ふと、うっかり忘れてしまった時・・・
「あれ?あんまり味が変わらなくない?」
果たしてパスタをゆでる時に、塩は本当に必要なのでしょうか。
パスタの塩入れる入れない問題について、まとめてみました。
結論!パスタに塩はいらない!!
「嘘だろ・・・」って感じですが、各方面から立証された事実となります。
パスタに塩説
- 沸点ガー!:×
- 浸透圧ガー!:×
- 食感や口触りガー!:×
順番に詳しく見ていきましょう。
塩を入れると沸点が上がるって本当?
塩を入れると「沸点」が上がり、ゆでたパスタのコシが出る。
なんとも、もっともらしい理由に聞こえますよね。
ですが、明確に否定できます。
塩をいくら入れたところで、沸点は大して変わらないのです。
「水1リットルに対して塩を約30g入れると沸点が約0.5度上がる」
もちろん、本格派イタリアンレストランなどなら、味の究極を求めて調整していくかもしれませんが・・・
私たちのような一般人にとっては、その程度の差・・・としか言えない数字なのです。
塩を入れることで浸透圧が変わりコシが出る!?
- 野菜炒めがベチャベチャになってしまった…
- 原因は塩の入れすぎによる浸透圧のせい?
- パスタのコシが無いのも浸透圧が関係している!
こんな話を聞いたことがありませんか?
野菜に塩を加えると、浸透圧によって水分が外に出てしまう、パスタもそれと同じだとする話です。
浸透圧とは
ある物質は通すが、ある物質は通さない働きをする膜(フィルター)を「半透膜」といいます。
浸透圧はその半透膜の間を、濃度が高い方から低い方へと物質が移動する現象です。
さて、ここで大きな問題です。
野菜や肉には半透膜がありますが、加工食材であるパスタは生きた細胞がないので、半透膜はありません。
したがって、浸透圧による現象は起こるわけがないのです。
食感や口触りに違いが出てくる?
1%程度の塩分濃度では薄すぎて、食感が変わるなどということはありません。
食感が変わるのは、むしろゆで方によってです。
- 十分に沸騰していなかった
- お湯が少なかった
- パスタが多過ぎて湯温が一気に下がってしまった
これらの結果、べちゃっとした仕上がりのパスタになって失敗してしまった。
これらの失敗談はよくある話です。
コシのないパスタになってしまった場合、問題は塩分量ではなく、ゆで方そのものにあるのです。
パスタをゆでるときは塩なしでOK|調理科学の専門家の意見
2013年、プレジデントオンラインにて発表された、東京家政大学大学院家政学研究科教授 長尾慶子先生のインタビュー記事です。
この記事をきっかけに、パスタをゆでるときには塩を入れる・入れない問題が勃発しました。
塩を入れるのはコシを強くするためといわれています。一般的なゆで方は、麺の重量の10倍程度の水を沸騰させ、そのお湯の約0.5~1%の塩を加えてゆでるというものです。
しかし、塩を入れてゆでたスパゲティと塩を入れずにゆでたスパゲティとでどのような違いがあるかを調理学の専門家で官能テストをしたことがありますが、塩を加えても加えなくても麺の食感には変化は認められませんでした。つまり、この程度の塩の量では、口触りに変化は見られない、ということです。私自身、大学の授業でも自宅でも塩は1グラムも入れていませんよ。「スパゲティをゆでるときは塩なしでOKです」プレジデントオンライン
今まで絶対に塩を入れると教わって来た人たちにとっては、世界がひっくり返るようなカルチャーショックですよね。
イタリア料理のシェフは塩を入れている?
パスタをゆでる時は塩を入れる、と学んできた我々一般人。
では、プロのイタリア料理のシェフはどうなんでしょう。
ということで、以下のお二人のレシピを見てみます。
- イケメン料理人ベリッシモ・フランチェスコさん
- YouTubeで発信を続けているChef Ropia(ロピア)さん
ちなみにChef Ropia(ロピア)さんは、イタリア料理店オーナーシェフで日本人です。
ベリッシモ・フランチェスコさんのレシピ
ベリッシモさんのレシピには、基本的に「パスタをゆでる」や「塩 適量」としかありません。
↓のカルボナーラのレシピでは、ワンポイントアドバイスとして、ゆでる時はシチリア産がおすすめ、とされています。
アマトリチャナのレシピでは何も記載がありません。
塩を入れるには入れるようですが、そこまで重要視していないのかもしれませんね。
パスタを茹でる時に、シチリア産の塩がお勧め!
引用:ベリッシモ流カルボナーラ
アルデンテ茹でたてのスパゲッティをフライパンに入れて、ソースと絡める。
Chef Ropia(ロピア)さんのレシピ
対して、ロピアさんはというと・・・
ポイント
- 湯に対して2%の塩を入れる
- 塩分濃度より、出来上がりの合計塩分の方が大事
ということでした。
「塩を入れてゆでるのが最も大事!」とする理論について「くだらん!」と論破されています。
パスタの茹で方です。
湯の量に対して2%程度で茹でていきます。
3%だと海水の塩分濃度に近いのでしょっぱいですね。
問題はゆでる塩分濃度がどうこうではなく、合計の塩分が「美味しい」と感じるところに落ち着けば良い訳なので、ゆで塩でつまらん議論は不要です。
トマトとモッツァレラの冷製パスタ
ソースとパスタを合わせて美味しいと感じる量で、塩を調整すればいいということですね。
まとめ
「パスタをゆでるときには沸騰した鍋に塩を入れる」
そう信じていたのに、塩を入れなくてもいいなんて!
常識と思ってきたことが時代とともに変わるのは、仕方ないことなのかもしれません。
電子レンジでパスタを作る用の容器が出てきたり、乾燥パスタを水漬けして生パスタのようにする方法も出てきたりと調理法も変化してきています。
そしてパスタに塩入れる・入れない問題!
必ずしも塩を入れなくてもいいのなら、塩分を控えたい方には朗報といえます。
濃いソースのものと合わせる場合は、意識的に塩なしでゆでるといい感じですね。