化学調味料。
こう聞くと、どんなイメージがありますか?
- 体に悪い添加物では?
- やばい原料使ってるんでしょ?
- 舌がピリピリするやつ?
悪いうわさがありますよね…
実際のところはどうなのか、まとめてみました!
あわせてチェック
化学調味料はうま味調味料
実は、正式名称として“化学調味料”という呼び方はありません。
昭和30年代のテレビ番組で“化学調味料”という呼び方をしたのをきっかけに広まりました。
行政上の定義は存在せず、不明確で誤ったイメージを与える名前ということで問題意識が持たれています。
そこで現在は“うま味調味料”で統一されています。
と言っても、化学調味料という言葉が一般化されてしまっているので、なかなか消えそうにはありませんけどね。
うま味調味料といえば『味の素』が有名です。
味の素はグルタミン酸ナトリウムという、うま味成分が主成分です。
加工品に使用される場合には『調味料(アミノ酸等)』などと表示されます。
うま味調味料は添加物なのか
うま味調味料はグルタミン酸などのアミノ酸を利用したうま味成分です。
食品添加物の調味料に指定されています。
ということは、添加物ですね!
しかし、添加物といっても安全性は確保されています。
食品安全法の基準を満たしています。
FAO(国連食糧農業機構)やWHO(世界保健機関)って名前だけはどこかで聞いたことがあると思います。
これらによるJACFAと呼ばれる食品添加物専門家委員会もグルタミン酸ナトリウム、イノシン酸ナトリウムの安全性が認められています。
日本だけでなく世界の権威ある機関でも認められている添加物です。
うま味調味料は体に悪いのか
味の素の成分は
- グルタミン酸
- イノシン酸
- グアニル酸
- ナトリウム
に分解されて代謝されます。
どれも自然の食物に含まれる物質ですし、自然のものと同じように代謝されます。
これらは体に蓄積することもありません。
JACFAによって、グルタミン酸ナトリウムやイノシン酸ナトリウムは1日の摂取量に上限を設定する必要はないとされています。
乳幼児から大人まで同じように代謝できる安全な添加物と言われています。
味の素は石油が原料なのか
「石油からつくられてるんでしょ…?」
そんな噂を聞いたことがあるかもしれません。
およそ50年前は、一部製品に石油由来の原料を使っていました。
しかし、石油由来の原料を使っていた時も、最終製品は今とまったく同じで安全性も確認されていたそうです。
と言ってもなんだか嫌な気持ちになるのはわかります…
現在は石油由来の原料は使用していません。
味の素はサトウキビの糖蜜からつくられています。
味噌や醤油をつくる時と同じように、発酵法で糖分をグルタミン酸に変換しています。
漫画「美味しんぼ」の影響とは
「化学調味料を食べると舌がピリピリする」
このセリフを使ったり聴いたりしたことはありますか?
漫画「美味しんぼ」で広まった表現です。
実際はグルタミン酸ナトリウムなどにそのような影響はありません。
あるとすれば、過剰な塩分やそのほかの添加物(発色料や保存料など)によるものと思われます。
濃厚なかつお出汁や昆布出汁を飲んでも、ピリピリしませんよね。
化学的とはいえ、成分は同じですから。
つまり、化学調味料で舌がピリピリするのは誤解です。
また、味の素などの化学調味料はサトウキビの廃糖蜜を使用している(廃棄物が原料)という表現があり、それにより化学調味料は悪だというイメージが広まってしまったのも事実でしょう。
漫画はあくまで漫画の世界です。
食の研究や印象も時代に合わせて変わります。
すこし前の漫画や本を見る時には「最新のデータではないかも?」と頭の片隅に置いておくことも大事ですね。
中華料理店症候群とは
1968年のアメリカでの話です。
中華料理屋で食事をしたあとほてりや頭痛が出て、それの原因がグルタミン酸ナトリウムなどの化学調味料(うま味調味料)ではないかと疑われました。
当時、中華料理には化学調味料が多量に使われていたようですね。
その後の大規模な臨床試験を経て、グルタミン酸ナトリウムと中華料理店症候群の因果関係は否定されました。
2000年に臨床医学雑誌で発表されています。
それでは、中華料理店症候群の原因は…?
多量な塩、酸化した油、、、などと噂はされていますが原因物質は特定されていません。
答えが出るには、まだまだ時間がかかるかもしれませんね。
少なくとも、グルタミン酸ナトリウムが原因で頭痛などが出ることはないとされています。
まとめ
化学的にも安全性が確認されているグルタミン酸ナトリウム。
世界の権威ある機関からもみとめられている添加物ですので、神経質になる必要はありません。
うま味を加えれば、料理がおいしくなるのは事実。
何でもかんでもダバダバとかけてはダメですが・・・
便利なものはかしこく使いたいですね。