メリケン粉・・・
「名前は知っているけど、小麦粉の仲間?」
程度の認識の方が多いかもしれません。
今回はこのメリケン粉についてと、小麦粉との違いについてまとめていきます!
メリケン粉とは
結論からいくと、メリケン粉とは小麦粉の一種のことを指します。
厳密にいえば同一のものではありません。
メリケン粉の特徴を見ていきましょう。
元々はアメリカ輸入小麦を指す言葉
元々のメリケン粉はアメリカから輸入された小麦が由来です。
アメリカから小麦が輸入されるようになったのは明治時代。
ペリーがやってきて開国、江戸幕府の滅亡、文明開化とめまぐるしく歴史が動いた時代ですね。
当時の日本では水車の動力を利用して、石臼で小麦を挽くという水車製粉を行っていました。
製粉技術は未熟で、当時の小麦はうすい茶色をしていました。
国産小麦の用途は主にうどんなどの麺です。
そんな中、明治政府の意向で、パン食の普及のためにパン焼き用の小麦が輸入されることになりました。
アメリカの製粉技術は日本に比べて進んでおり、既に機械化されていました。
当時の人はアメリカ産の真っ白な小麦を見て驚いたそうです。
この真っ白な輸入小麦のことを、国産小麦と区別するためにメリケン粉と呼ぶようになったのでした。
名前の由来
「メリケン」というのは、「アメリカの」という意味の「アメリカン」が語源。
いい感じの発音で言うと「(ァ)メリケン!」と聞こえることからです。
国産小麦とメリケン粉の性質の違い
ご存知のように、小麦粉は性質によって、
- 薄力粉
- 中力粉
- 強力粉
と種類が分かれています。
日本で生産されている小麦は、中力粉の原料となる中間質小麦がほとんど。
なので、明治時代の国産小麦粉は中力粉であったと思われます。
では、明治時代に輸入されていた「メリケン粉」はパン焼きに向いているという強力粉だったのでしょうか?
それがそうとも言えないのです。
じつは、小麦大国アメリカには、日本よりもさらにたくさんの小麦の種類があるのです。
強力粉、中力粉、薄力粉、Pastry Flour(薄力粉と中力粉の間の性質の小麦粉)。
さらに、それぞれの小麦に漂白・無漂白の区分があります。
こんなにあったら、何を使っていいかわからないよ?となりそうですが・・・
実はアメリカでは「All Purpose Flour」という中力粉を使うのが一般的で、この粉でカップケーキもパンケーキも、パンも焼くことができるそうです。
ということであくまでも想像ですが、明治に輸入されていたメリケン粉は、偶然にも中力粉だった可能性があります。
関西地方で定着したメリケン粉
実はメリケン粉って・・・
関西ローカルな側面を持っているのです。
「うそ!?」って思ったあなたは関西人(笑)
私は関東人ですが、この記事を書くにあたって調べるまでは・・・
「なんとなく言葉は知っているけど小麦粉の一種かな?」
程度の認識でしたからね。
ではどうして、「メリケン粉」という呼び名は関西方面で定着したのか。
その理由とは・・・
メリケン粉が関西でメジャーになった理由
大正時代に関西では「一銭洋食」という、薄いお好み焼きのような食べ物が流行していました。
発祥地は京都とも大阪ともいわれています。
戦後、食料の供給が少ない中、アメリカの進駐軍からのメリケン粉を頼りに、この一銭洋食を売っていたお店があったそうです。
また、当時は神戸港からメリケン粉が入って来ていたからという話もあります。
このような時代背景があいまって、メリケン粉という呼び名が関西地方に残っていった、というのが判明している理由ですね。
関西では、今でも小麦粉を呼ぶ時はメリケン粉。
ただし、メリケン粉という名称で売られている小麦粉はなかなか見かけません。
唯一、熊本の製麺メーカー五木から「メリケン粉」という名称で販売されている小麦粉があります。
気になった方はチェックしてみて下さい。
※2019年11月現在、ヤフーショッピングのみで販売されています。
※2023年5月現在、販売が終了してしまいました。
メリケン粉で商品を探すと、よくわからないふるーーーい後藤真希さんのミュージカルがヒットしました。
まとめ
メリケン粉が定着した理由は、所説ありますが・・・
アメリカから来たメリケン粉が、関西地方では生活に欠かせない物だったから、というのは間違いなさそうです。
粉もの文化と言えば関西!というイメージもありますからね!