手軽なお出汁といえば、以下のようなものがありますよね。
- だしパック
- 粉末だし
- 顆粒だし
- 液体だし
用途によって使い分けているご家庭もあるかもしれません。
このなかで“なんとなく身体にいいものなのかわからない存在”なのが粉末だし・顆粒だしではないでしょうか。
粉末だし・顆粒だしの安全性について考えてみたいと思います。
果たして危険な添加物が含まれているのでしょうか・・・?
あわせてチェック
粉末だし・顆粒だしは安全?危険?
粉末だしや顆粒だしは危険という噂があります。
確かに“加工”だしであることには違いありません。
添加物、そして製造方法が疑問視されるようです。
加工だしとして添加されることが多い成分が以下の3つ。
はてな
- グルタミン酸ナトリウム
- たん白加水分解物
- 酵母エキス
だし用だけではなく、うまみ成分として使われることも多い物です。
それぞれ、どういうものなのかを見ていきましょう。
1.グルタミン酸ナトリウムとは
うま味調味料って便利ですよね。
そう、代表的なもので言えば味の素などのことです。
これらの、うま味調味料はグルタミン酸ナトリウムが代表的な成分です。
成分表示を見てみると『調味料(アミノ酸など)』と書かれていたりするのがこれです。
グルタミン酸は生物の体内にもともと存在しており、私たちが植物や動物のたんぱく質から毎日、摂っている物質です。うま味調味料のように工業的に生産されるグルタミン酸も、自然界に存在するグルタミン酸と成分はまったく同じ。体内でも同じように代謝されています。
食品衛生法に定められた安全性試験(発がん性や遺伝毒性など)結果に基づき厳重な審査を経て食品添加物に認定されています。
添加物であることにはちがいありませんが、もともと体内に存在するものなので、それほど気にしなくて大丈夫です。
添加物の使用上限値よりも大幅に少ない量を添加しています。
これを食べたらがんになる…とかそんなことはありません。
安心してください。
※一部そんな都市伝説も出てはいますが。
それでは、“天然由来”や“無添加”とうたっている商品にはうまみ成分は含まれていないのか?
天然由来は自然界にあるもの、またはそこから抽出したもの。
無添加とは防腐剤や着色料などが含まれていないもの。
つまり自然界に存在し“食品”に分類されるものであれば添加物ではないのです。
そんなときに利用されるのがたん白加水分解物、酵母エキスといった食品扱いのうまみ成分です。
2.たん白加水分解物とは
たんぱく質を分解するとアミノ酸になります。
このとき材料となるのが肉や魚、大豆、小麦、とうもろこしといった私たちが普段から食べている食材。
食品由来のうまみ成分ですね。
これらのたんぱく質を分解するためには、酵素や塩酸・水酸化ナトリウムでの処理が必要です。
- 塩酸処理なんて大丈夫なの?
- 薬品使ってるの?
ちょっと不安に覚えるかもしれませんが・・・
中学生のころ、塩酸と水酸化ナトリウムを使って中和させると食塩と水ができあがる実験をした記憶がありませんか?
中和すると食塩と水になる物質です。
身体に入っても、なんら害はありませんよね。
3.酵母エキスとは
酵母といえばパンやビールなどの発酵に必要ですね。
酵母エキスはビールを作ったあとの残りカスのようなものを抽出し濃縮、粉末化したものです。
酵母にもたくさんの種類があります。
食品に使われるもの、病気の原因になるもの、美容によいものなど。
「酵母エキスには食用ではない酵母を使っているんじゃないか?」
という話を見かけますが、先ほど説明した通りビールを作ったあとのものから作ります。
ということは食用ですよね。
ビールの残りカスはうまみの宝庫なのです。
酵母エキスとは、酵母に含まれる成分を抽出したものです。粉末、ペースト、リキッドなどのタイプがあります。
酵母エキスに含まれているアミノ酸の旨味に注目し、ヨーロッパでは古くから調味料として使われてきました。
天然物を原料としているので、安全で安心できる食品素材といわれています。
アサヒグループ食品より引用
酵母エキスもたん白加水分解物と同様に塩酸や水酸化ナトリウムでの処理方法がありますが、最近では酵素処理が主流となっています。
「酵母エキスでアレルギーが!」と言う方もいますが、すべてのたんぱく質にはアレルギーの可能性があります。
酵母に限ったことではありません。
アレルギーの頻度が高いものや、重症化しやすいものは表示義務があります。
酵母にはアレルギー表示義務がありません。
それだけ稀なものということです。
粉末だし・顆粒だしは味覚障害になる?
今回紹介したグルタミン酸ナトリウム、たん白加水分解物、酵母エキスはどれもうまみが強いものです。
ですので、これらに慣れてしまっていると・・・
“かつお節からとったお出汁”など、素材そのもののうまみでは物足りなくなる感じてしまう事があります。
濃いうまみがあって当たり前の状態の舌になってしまっているんですね。
“粉末だしや顆粒だしで味覚障害“はちょっと言いすぎですが、健康のためにも素材の味やうす味で満足できる舌をつくっておくといいとは思います。
最近は手軽にお出汁がとれるだしパックも豊富に販売されています。
お出汁を感じられるお料理にはだしパックを。
味を手軽にまとめたいときには粉末・顆粒だしを。
というように使い分けてみるといいかもしれませんね。
まとめ
手軽に使える粉末だし・顆粒だしです。
添加物も、その添加物の製造方法もそれほど気にしなくても大丈夫です。
ただ、使いすぎると塩分が多くなりすぎる傾向にあります。
あれにもこれにもと多用せず、本物の出汁を取り入れられる料理もあるといいですね。