『手打ちそば』や『手延べうどん』
麺を扱うお店に行くとそんな表示がされていることがありますよね。
「うちは手打ちです!」とこだわりをアピールしているお店もあるけれど・・・
「そもそも違いがよくわからない・・・」なんて思っていませんか?
そんなあなたのために、今回は手打ちと手延べの違いについて調べてみました。
手打ちと手延べの3つの違い
手打ちと手延べには大きな違いが3つあります。
それは・・・
- 原料の違い
- 製法の違い
- 食感の違い
この3つです。
順に見ていきましょう。
1.原料の違い
根本的な話、手打ちと手延べでは原料が異なります。
手打ち麺の原料
手打ち麺の原料として使われるのは、
- 小麦粉
- 塩
- 水
以上の3つ。
とてもシンプルですね。
※そばの場合はそば粉も入ります。
手延べ麺の原料
手延べ麺には上記3つに加えて食用油を使います。
後述しますが、生地をより細く練っていく為に油が必要になるのです。
2.製法の違い
手延べ麺の手間は、手打ち麺の10倍~15倍かかります。
細かく見てみましょう。
手打ち麺の製法
小麦粉と水、塩を混ぜてつくった生地をこねて熟成し、またこねては熟成し、これを繰り返して生地を鍛えます。
うどん生地を足で踏み鍛えているシーンって、テレビや雑誌などで見たことがあるのではないでしょうか。
必ずしも足で鍛える訳ではないですが、あんな感じをイメージしてくださればOKです。
そのあと、麺棒で薄くのばし、包丁で切ります。
包丁で切るため、麺の断面が四角いのが特徴です。
生地をこね始めてから麺に仕上がるまでの時間およそ2、3時間。
うどん、そば、ラーメン、パスタなどあらゆる麺の起源は手打ちです。
手延べ麺の製法
原料である小麦粉、水、塩を混ぜて生地をつくるところまでは手打ち麺の製法と同じです。
そのあと、食用油を塗ってよりをかけながら、引き延ばしと熟成を何度も繰り返します。
一度に長く伸びない事と、熟成を何度も何度も繰り返して少しずつ生地を伸ばしていく事によって、かなりの時間がかかります。
※およそ30時間とも。
手打ち麺と違って包丁は使わず、1本の長~い麺をつくるため、麺の断面は丸いのが特徴です。
どれくらい延ばすかというと、うどんで約5000倍、そうめんだとなんと30000~40000倍まで延ばすのだとか!
時間がかかるのも納得ですね。
3.食感、コシの違い
手打ち麺と手延べ麺では食感やコシが全く違います。
この違いを生み出すのは小麦に含まれる成分であるグルテン。
生地をよくこねればこねるほどグルテンが生地の中に網の目状の組織を作ります。
手打ち麺の食感
手打ち麺は生地を包丁で切るため、網の目状のつながりを断ち切ることになります。
これにより、しこしこという食感が生まれます。
手延べ麺の食感
一方、手延べ麺はグルテンのおかげで伸びやすくなった生地を細長くのばして麺をつくります。
手打ち麺と違って包丁で切らないので、なめらかでのどごしがよく、コシの強い麺に仕上がります。
グルテンによって麺が強靭なものになるため、切れにくくもなります。
手延べと言えば
機械麺は手打ち?手延べ?
大量生産向けに機械麺というものも存在します。
その名の通り機械でつくる麺なわけですが・・・
これは製法でいうと手打ちと手延べ、どちらに近いと思いますか?
正解は「手打ち」です。
練った麺を平板状にし、ロール圧延方式などの製麺機で切っていきます。
しかし、機械麺は製法としては手打ちに近いものの、延ばしが足りないのでグルテン組織にバラツキがでます。
そのため品質では手打ち麺に劣ってしまいます。
大量生産向けなのでそれはそれで仕方ないのですが・・・
まとめ
手打ちも手延べもそれぞれに良さがありますが、より手間暇かかっているのは手延べ麺ですね。
ウェブ上でレシピを調べてみても・・・
手打ち麺のレシピは出てくるものの、手延べ麺のレシピは見当たりませんでした。
実際に家でつくるとなると30時間も麺づくりにかけていられないので難しいのでしょうね。
お店で麺を食べる時にはぜひ、手打ち麺か手延べ麺かを意識して、実際にコシや食感の違いを感じてみてください。
- 「そばはやっぱり手打ち!」
- 「うどんは手延べのコシが強いものがいいな」
なんてあなたの好みが見つかるかもしれません。